極右歴史学者の「代名詞」、教学社の教科書を支持

PDチャンネル 2014.9.6

극우 역사학자의 ‘대명사’ 교학사 교과서 지지 - PD저널

KBS理事長、李インホとは何者>

極右歴史学者の「代名詞」、教学社の教科書を支持

  

 イ・イノ (李仁浩)ソウル大名誉教授が、去る2日、公営放送KBSの最高議決機構である理事会の理事に任命されたのに続いて、5日、理事長に選出された。しかし、ニューライト系列の李教授の偏った歴史認識が、KBSの内外で推薦撤回の要求が相次いでいる。李教授の歴史観KBS放送に影響を及ぼすことを憂慮してのことだ。

 元老女性歴史学者であり、女性としては初めてフィンランドとロシア駐在大使などを歴任した李インホ教授が、KBS理事に推薦され理事長になることで、大きな問題として浮上してきたのが、李理事長の歴史認識である。

 李理事長は、李明博<イ・ミョンバク>前政権の時代である2008年、ニューライト教科書フォーラムが作った親日・独裁美化の論難の「代案教科書」の監修を引き受けたことがある。教科書フォーラムは、小・中・高校の歴史教科書が「左派的」性格を帯びており、これを正さなければならないと主張するニューライト性向の歴史学者たちの集まりで、代案教科書を通じて、5・16軍事クーデターを「近代化革命の出発点」であると表現した。

 また、李理事長は、教科書フォーラムが中心となって作った韓国現代史学会(訳者注:国定教科書反対声明を発表した「韓国近現代史学会」とは別団体)の顧問を務めているが、韓国現代史学会は、昨年、親日・独裁美化と山盛りの誤謬が明らかになった教学社の高校韓国史教科書を執筆した団体である。彼らは、一部の教科書が米軍の良民虐殺だけを浮き彫りにして建国は無視し、分断だけを否定的に叙述しているとして、「左傾偏向」だったと主張している。

 李理事長のこのような態度は、自分が所属する団体が執筆委した教学社の教科書を支持する姿勢からも知ることができる。昨年の9月11日、教授は、自身が所属していた保守性向の学者23名で構成する「歴史教育を憂う人々」の緊急記者会見で、「いわゆる進歩的史学家たちが、自分たちと意を共にするマスメディアを動員して、教学社の教科書に対してのみ根拠のない歪曲をしている」と語った。

 現在、マスコミを賑わしている李理事長の祖父の親日行為も、論争の的だ。李理事長の祖父である李ミョンセ氏は、日本の植民地時代の代表的な親日派の一人として、朝鮮の若者に天皇のために戦って死ねと言い、軍需資材献納運動など親日行為を行って、「親日反民族行為真相究明委員会」が2009年に発表した親日人士のリストにも含まれている。

 問題は、李教授が「親日」批判に対しても偏向した態度を見せているということだ。

 李教授は、2008年5月12日付「東亜日報」の「李インホのコラム」で、民族問題研究所が発行した「親日人名辞典」について、「民族と国のために献身した方たちが、あれほど渇望した独立を取り戻し、国を建てて発展させるのに大きく寄与した多くの人たちを『親日派』と決めつけて国を分裂させるようなことを、良しとされるだろうか」と述べ、「亡国とともに世間に背を向け、一族の一時的な没落を厭わなかった祖父を思い浮かべると、祖父は決してこのことを賞賛されなかっただろうと確信する」と批判したことがある。

 また、李理事長は、民族卑下発言で総理候補を辞退した文チャングク前国務総理候補について、「感動した」と擁護したこともある。李教授は、去る6月19日、TV朝鮮の「時事トークの場」に出演して、文チャングク前国務総理候補の「日本の植民地支配は神の御心」などの発言について「私はクリスチャンではないが、文候補者の講演を見て感動した」と述べ、文前候補を積極的に擁護したかと思えば、「講演全体を見た時、文候補者を反民族主義者だと言う人たちはまともではない人たち」だと非難したりもした。文チャングク前候補は、当該の発言が問題となって辞退した。

 民族問題研究所が去る1日に論評を出し、「李インホ氏は、民主政府と独裁政権を入り浸りながら二股をかけた人物で、最近は自ら親日・独裁美化の先頭に立ち、歴史戦争の原因を提供している人物」だと批判した所以である。

 KBS内部のスタッフの間でも、このような李理事長の歴史観がニュースと番組に影響を及ぼすことを心配する雰囲気である。まかり間違えばKBSが「理念論争」の場に変質する可能性が高いと憂慮してのことである。

 KBSのあるPDは、「李教授はニューライト系の中でも強硬な立場を取っている人物」だとし、「問題は、李教授の極右的性向と歴史観は放送においてまったく受け入れられないということ」だと指摘した。

 また、別のPDも、「李ビョンスン前社長以後、光復節、3・1節の特集さえ避けようとする雰囲気が内部にある。加えて、来年は現代史の転換期的な時点でもある光復70周年であり、韓・日国交樹立50周年であるが、関連番組をまともに製作して放送できるだろうかという考えが浮かぶ」と言い、「さらに国定教科書改訂の動きまである雰囲気の中で、李教授が、報道に政府の意見を反映する方向に、知らず知らずのうちに圧力をかけるのではないかと心配だ」と憂慮した。

 KBSのPD協会・経営協会・記者協会・放送技術者協会など4大職能協会は、去る1日に声明を発表し、「李教授が、KBSが報道した文チャングクの特ダネを狙い撃ちしていたが、ついに理事長という名前で足を踏み入れようとしている」として、「KBSに対する彼女の考え、撒き散らしてきた言辞と文章を見ても、なぜ彼女の任命に反対しなければならないのかは明らかだ」と批判した。

 李教授の理事内定の撤回を求める声も高まっている。国会の教育文化体育観光委員会と未来創造科学放送通信委員会に所属する新しい政治民主連合の議員たちは、去る1月に開かれた記者会見を通じて、内定の撤回を求め、「李教授は、親日行為をした人の相当数が国のために仕方なく親日をした愛国者だったというでたらめな話で国民を欺いている」として、「親日と独裁を美化する親日派の子孫が公営放送KBSの理事長になるならば、KBSは現在よりもっと嘘のニュースと極右理念に偏向し、歴史的真実を無視する放送を作るだろう」と批判した。