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民主労総初の女性総長の一喝「家父長制の一掃」

李ヨンジュ民主労総事務総長インタビュー「4月、先制的ゼネストを決行」

民衆言論「真実の世界」 尹ジヨン記者 2015.1.27

[原文]민주노총 첫 여성 총장의 일갈 “가부장제 일소”(2015.01.27)

 

   民主労総の20年目にして、初めて女性労働者が事務総長に就任した。昨年、民主労総初の委員長直接選挙制がもたらした成果だ。

   労働運動陣営の男性家父長主義は、長い間、労働運動が越えられずにいる地点だった。男性中心の文化、垂直的な階級秩序、組織の官僚体系は、女性労働者に対する差別と暴力を産むこともあった。自然と、新しい想像力と感受性を土台とする革新的な組織運動を求める声も高かった。李ヨンジュ事務総長は、去る26日、「真実の世界」と会い、この間の家父長的事務総長のスタイルと決別して、新たな組織運営の方式に基盤を置く独自の事務総長を務めていく、と宣言した。
 全教組出身の李事務総長は、2008年に全教組の性暴力事件の事件処理の過程に言及し、涙を流すこともあった。性暴力など、様々な組織の葛藤問題で表れた「組織防衛」の思考が、進歩性と運動性を損なっているという指摘だった。また、李事務総長は、「朴槿恵と真っ向対決できる、ゼネストを行える機会を与えてくれた組合員たちに感謝する」と述べ、「組合員が与えてくれた機会と幸運を無駄にしない」と言明した。以下は、李ヨンジュ事務総長とのインタビューの内容である。

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民主労総運動25年目にして初めての女性事務総長に就任した。どのような意味があると思うか。

李ヨンジュ(以下、「李」):間接選挙制であれば「女性事務総長」は不可能だった。間選制は、韓国労働運動内の男性中心性をそのまま表している。活動家の大部分は男性で、男性活動家が好んで推薦する人物も男性でしかありえなかった。女性事務総長の当選の背景は、直接選挙制だ。直選制の効果の一つは、既存の男性中心の文化を一定部分壊したというところにある。男性なのか女性なのかということよりは、政治的志向や観点で投票をすることになった。

 

今でも民主労総が男性中心の文化から抜け出せていないという指摘がある。新たな組織運動と構想が必要なようだ。

李:最近の関心分野が、協力的な組織運営のシステムだ。労働者の個々人を分裂させる資本と政権の統制方式を抜け出すために、労働者はどんな組織を持たなければならないのかということだ。現在、大部分の労働組合の組織運営は、政権、資本の組織運営システムと変わりない。私たちは、それらのシステムを批判し、弊害を非難してきた。しかし、私たちの組織は健康なのか。新自由主義を批判しているが、効率性中心の組織運営という限界を抜け出せずにいる。少なくとも、資本と対決する労働組合の組織は、それとは違うという差別性を示さなければならない。団結と協力、疎通という組織運営のシステムを創り出さなければならない。

 私たちが資本と政権に要求するためには、私たちからまず、自分たちの目指す運動を実践しなければならない。システムは小さい努力から作られる。頭の中では運動、革命を考えても、自分の労働現場は資本家の運営方式そのままに統制されているなら、私たちの創造力は作られない。民主労総が、同志たちにとって運動的にも幸せになれる空間でなければならず、事務総長はこれを手伝う役割をしなければならない。ここにいる同志たちの違いを尊重し、差別を排撃していくことが事務総長の役割だと思う。初めての事務総局会議の日、運動の基本である自発性と道徳性をもって、本人自らすべての勤務を統制してくれとお願いした。事務総長が統制して管理する官僚的形態はないと言った。室ごとに業務形態が異なるだけに、室単位で自律的に出退勤する制度を試行することにした。

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業務を始めて3週間が過ぎた。直接事務を担当する責任者として、民主労総の事務総局の姿はどうか。

李:事実、当選以後、多くの人が憂慮された。事務総局が運動空間ではない職場になった、という批判だった。しかし、私は、それが批判の地点にはならないと考える。自分の運動であると同時に職場であれば、いいことではないか。これは保障しなければならない領域であり、風通しを良くしていかなければならない問題だ。事務総局の誰かを排除したり外部に追い出したりするのではなく、再び自分の運動に戻って来させる支援方法について思い悩むことを原則とした。民主労総の事務総局のメンバーたちも違和感はない。委員長や私がけっこう気軽に出入りして、強硬派というイメージもかなりなくなったようだ。(笑)

 

「細やかで几帳面なスタイル」という評価がある。自分の業務スタイルを説明すると?

李:「細やかだ」という影のうわさがあることは知っている。会計処理のためだと思う。他のことは関与しないが、会計決裁書類は細かく見る。労働組合の運営費は組合費だ。非理や不正を見つけ出すというのではなく、労組のお金を使う際に原則を守るためだ。全教組がこの部分について厳格だったので、習慣になっている。他の人は、私が「公務員」だからそうだと冗談を言う。総務室には一か月だけそうすると言った。年初に基本と体系が確立されれば、運営がしっかりする。

 

2008年、全教組の金某の性暴力事件当時、民主労総と全教組の事件隠ぺいおよび縮小の論難、事件処理の過程での反女性的問題が明らかになった。組織内の性暴力問題についてどのような原則を守っていく考えなのか。

李:事件と関連して、組織は一度も責任を負わなかった。全教組は、明らかに責任を負わなければならなかった。一昨年に執行部に入った後、被害者の治癒の支援費用を予算措置した。支持集会で中心的役割を担っていた黄ミソン先生が全教組の女性委員長を務め、支援集会の白書制作と配布を支援した。憂慮もあった。全教組が組織的に予算を支援して支持する場合、全教組内の党派的批判と分裂が伴わないかというものだった。その時、「そのような批判が来るのなら、この執行部が甘受しなければならない」と言わせてもらった。また、2次、3次加害者が集会などの公式行事の場に参席してはならないと考えた。昨年初めに、加害者たちに公式行事の招待状を送ったり口頭で招待をしない、という立場を確立した。

 こんなに昔の事件なのにいつまで被害者優先の原則を持つのかと、もどかしく思う人たちもいた。しかし、組織が被害者に対して支援した時期は、昨年と一昨年のきっかり2年だけだった。組織が被害者に対して責任を負ったのがたった2年だということだ。その間、被害者が笑う姿を一度も見たことがなかった。そうして、白書が編纂された後に民主労総の代議員大会の会場で販売した時、初めて笑った。

 最も大きな問題は、組織防衛だ。組織防衛の思考に転換する瞬間、その組織は進歩性と運動性を失う。それ以上存在する理由がなくなる。このような事件が再び起こらないように防止しなければならないが、万が一にも再発したのなら、組織防衛ではなく、人間の平等と私たちの運動が目指すものに照らし合わせて、処理しなければならない。それができなければ、労組はもはや労働組合として存在する必要がない。すべての問題について組織防衛の観点が織り込まれる瞬間、労働組合運動の精神は失われることになる。その部分においては、現執行部を信じてもらってもよい。

 

上半期の公務員年金改悪と公共部門の正常化対策阻止をめぐって、公共部門の労働者がゼネストを掲げた。上半期の公共部門ゼネスト計画について語ってほしい。

李:公務員年金の改悪阻止闘争は、公的年金全般の民営化を阻止する闘争だと見なければならない。公的年金の民営化は、国家全体を揺るがす事案であり、社会全体を不幸に追いやる問題だ。政権は、公務員を敵に回して、公的年金の民営化を企てている。公的年金の民営化は、すべての民営化のゴールだ。ブレーキを掛けなければならない。私たちが掲げたのは、1~2月の希望連帯労組を中心とした非正規職の闘争と、3~4月の公務員年金改悪阻止闘争だった。

 現在、時期的に闘争の事案が続いて並んでいる。4月には対国会闘争、4月末に金属労組のスト、6~7月に賃団闘、6月末に社内請負のゼネストなど、1年間、各産別と地域の懸案が方々に散らばっている。どの時期をとってもゼネストが不可能だ。以前の執行部もゼネストの意思がなかったわけではない。できなかったのだ。時期の不一致と散発的なテーマのために、10年間、強力な闘争をできなかった。死んだ子の年を数えて何の役に立つだろうか。私たちは、政権と資本が決定するとようやく繰り言のように集会をする。しかし何も問題は解決しない。

 今回のゼネストは、資本と政権が引き起こした問題を後始末する闘争ではなく、まず私たちが宣言して警告する、先制ストだ。状況がすべて引き起こされた後の11月にすべての事案をまとめて行う闘争ではなく、4月に先制的、攻撃的ゼネストを行う。人間より利潤を追求した浅はかな資本主義によって発生した昨年4月のセウォル号惨事の時期を迎え、労働者の名で全面的な反撃を始める。

 

現在までのゼネストの準備状況を聞きたい。

李:いくつかの産別、地域本部長と会って意見を打診している。民主労総が掲げるテーマがすぐに懸案と関連しなくても共闘する、と決意する人もいる。現場では、この2年間に社会がこの状態まで来たのに、どうして自分は何もしなかったのか、なぜ各個戦で戦わなければならなかったのか、という悩みが多い。散らばった闘争ではなく、中央で単一の声を上げる闘争を望んでいる。今でも、ゼネストがうまくいくのかという質問がたくさんあるが、そのような質問をする時期はすでに過ぎた。ゼネストは、昨年の選挙を通じた組合員の命令だ。これ以上遅らせる必要はない。ゼネスト執行部は、組合員が選択した即時ゼネストを、最大限早い時期に組織し遂行する任務を負っているだけだ。

 組織し得る最大の労働者を組織する。2月12日の代議員大会を終えてから進行したのでは遅い。直ちに来週から、委員長と役員が各産別と地域本部を訪問する予定だ。地域本部別に代議員懇談会を開き、1次的な学習と事前討論を行った後、代議員大会で力強くゼネストを決議する計画だ。代議員大会後は、中央に「ゼネスト勝利実践団」を、産別と地域本部に「現場ゼネスト勝利実践団」を組織させる。この人々がすべての事業場を訪問して教育宣伝を担当し、スト隊列への参加勧誘と、1人当たり1万ウォンのゼネスト基金の組織などの活動をしていく。

 

最近、金属労組・現代自動車支部・現代自動車非正規分会間の組織葛藤(※)が生じた。民主労総は24日に立場を発表したが、組織の葛藤が起きた時に、上級団体はどのような原則と立場を堅持しなければならないのか。

李:これまで、産別労組で起きた組織葛藤に民主労総が関与した事例はないことは、知っている。しかし、これもまた間選制のためだと考える。金属労組にこの問題をともに議論しようと言った時、果たして民主労総が産別組織の問題に関与してもいいのか、という問題提起を聞いた。間選制ではできなかったことかも知れない。直選制では、金属労組の組合員も私たちに投票したではないか、その要求を受け入れなければならない、と言った。関与して指導するのではなく、組織の団結のためにどのように問題を解いていくのか、論議の場をともに作っていかなければならないと思う。金属労組内部に大きな葛藤があって、この部分がゼネストにどのような影響を及ぼすのか、悩む人たちも多い。しかし、申し上げた通り、どのような問題にあっても、組織防衛が、あるいは特定の事業の利害関係が作動する瞬間、運動の原則が損なわれ、運動は力を得ることができなくなる。運動の原則を確立することが、組織が力を持つ原動力なのだ。

 金属労組の件もそのように考える。今までの歴史と伝統を持つ金属労組を信じている。この問題を解決できない組織や活動家たちだとは思わない。民主労組の立場を堅持しつつ、十分に協議して解決していくことが可能だと思う。民主労総が上部団体として判決をして支持するという観点では、この問題を解決することはできない。問題解決のための協力者の役割を果たすつもりだ。

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委員長・事務総長・首席副委員長が、すべて大工場の正規職または公共部門の正規職労働者の出身だ。非正規職の闘争や未組織の非正規の組織化などについての経験と共感が不足している、という限界を持っているのではないか。

李:選挙運動の時にも、非正規職の同志を候補に立てなければならないのではないか、という指摘が多かった。しかし、それ自体が分裂的な思考だと思う。政権と資本は、正規職と非正規職、公務員と非公務員を分離する政策を使ってきた。いつの間にか、正規職であれば非正規職のことを知らないだろう、という認識が生まれた。しかし、労働者は分節として存在するのではなく、すべて融合している。家庭でも母が公務員、父が正規職の会社員、子どもが非正規職ではないか。政権は私たちを分裂させ、私たちは政権に洗脳されてきた。大工場の正規職が現在の民主労総の中心であるなら、大工場の正規職が非正規職の撤廃闘争に立ち上がらなければならない。公務員、公共部門の闘争が成功しようとするなら、非正規職の労働者たちが連帯しなければならない。また、3~4月以降には、大企業の正規職労働者と公共部門の労働者が、非正規職の闘争に共に加わらなければならない。すべての過程は、労働者が一つであることを確認する結果となるだろう。

 これとともに、今年の民主労総が最も力を示すことができる部分は、組織化だと考える。100万人を組織するための組合員加入申請を受け付ける。民主労総を特別な経路で加入するもの、と考える人が多いが、実際は、いつでも簡単な経路で加入できる。特定の事業所に含まれていなくても、民主労総を支持し、自分が労働者だと考え、ゼネストの隊列に加わりたいと思うすべての人々が、民主労総にすぐに加入できるようにする。労働組合は、市民団体、求職者、過去の労働者、未来の労働者など、すべての人々に開かれていなければならない。力が集まれば何でも可能だ。韓国社会が労働組合の加入を閉鎖的に妨げていたのも、政権と資本の論理だ。労働組合の加入がどれほど簡単なのかを知らせていくつもりだ。

 

最後に、民主労総の組合員に一言。

李:最近、たくさんの人々が、お祝いしながらも、すまない、ご苦労だねという心配の言葉をかけてくださる。しかし、私は、率直に、組合員の同志たちにたいへん感謝している。この時期に、このようにすべての組合員の支持を受けて執行部を務められる活動家が何人になるのか、考える。最近も、韓サンギュン委員長と「私たちはたいへんな幸運を得たみたいだ」と話したことがある。朴槿恵政権と真っ向対決できる機会、ゼネストを実行できる機会、3年という期間の間、民主労総を韓国社会の中心となる変革勢力に作り上げることができる機会を、組合員が与えてくれた。皆さんが下さった機会と幸運を、無駄にはしない。組合員の命令を完遂するよう、最善を尽くすつもりだ。


(※)現代自動車が非正規職労働者を偽装下請で働かせていた問題で、民主労総傘下の金属労組現代自動車支部の牙山・全州工場非正規分会は、会社側と交渉を行い、2014年8月18日に、社内下請労働者4,000人を新規採用で雇用することで合意した。しかし、最大規模の蔚山分会は、「不法派遣に免罪符を与えるもの」だとして合意を拒否、11月の金属労組代議員大会で、「団体協約締結権者でない委員長名での締結ではなく無効」だと議決された。
 これに対して、金属労組の委員長が、15年1月13日に機関紙上で「合意を尊重すべき」との談話を発表すると、組織内から「非正規職に闘争の放棄を求めるもの」という批判が起き、蔚山分会の組合員が委員長室を占拠するに至った。
 この件に関して、民主労総の韓サンギュ委員長は、1月24日に発表した声明で、「非正規職の差別撤廃のための闘争は正当である。非正規職の存続を認めた合意は尊重されない」と、金属労組委員長を批判した。