平和の適期(オスロ大学・朴露子教授3月18日コラム)

 

今日ちょっと面白い(?)ことがありました。ノルウェー公立放送ラジオで最近の朝鮮半島の状況についてインタビューを行っていた途中で、もし北朝鮮と米国との首脳が会って平和へと有意義に向かったら、その両首脳らにノーベル平和賞を与える必要があるかと質問されました。 私は一秒の躊躇なく、その通りだ、金正恩とトランプ二人と、文在寅大統領などにノーベル賞を与える必要があると即答しました。 放送局の解説者は、金正恩とトランプの評判が「ご存知のとおりちょっと問題が多いが…。それにもかかわらず、この話は果たして現実的なのか」と反問されました。 私はあえて「人格」や「経歴」の問題で考えるなら、その賞の創始者である爆弾商人ノーベルからして問題が多い上、今までその賞を受賞したキッシンジャー、ラヴィン、オバマなどには国際法違反や無法殺人などの多くの犯罪歴があり、その賞に何の「純潔性」も見つられないと答えました。賞はただ「方便」なだけです。 その手段を使って朝鮮半島の平和を作ることができるなら非常に良いのですが、今こそもしかすると適期ではないかと付言しました。 なぜ適期なのか、下記で論じます。 
 
朝鮮半島の不安の源泉である分断体制は、1990年代前半の国際冷戦終結過程で逆説的に更に強化されてしまいました。 ソ連は、韓国と国交正常化する前にクロス承認、すなわち北朝鮮に対する日米の国交正常化まで取らなければならなかったのですが、それさえできずにただ没落してしまいました。ソ連、中国の韓国への国交正常化により、北朝鮮は国際体制編入どころか逆に孤立し、日本や米国にいくらラブコールを送っても反応がないことから(金丸信など日本の一部親分たちが日朝国交正常化論を説いたが米国は拒否しました)、仕方なく核武装に向かいました。 その葛藤は1994年に金日成-カーター会談で少しなだめられたが、実は朝鮮が望んでいたことは、カーターの訪朝だけでなく、その当時の現職大統領であったクリントンの訪朝と国交正常化でした。苦難の行軍時代に対朝鮮援助の相当部分を米国が提供し、朝鮮はこれを快く受け取っていたのに、米朝国交正常化の兆しは韓国の太陽政策の稼動以後にやっと兆しが見え始めました。 2000年にオルブライト外相が訪朝し、朝鮮はその後クリントンの訪朝を首を長くして待ちましたがそれは霧散し、その次のブッシュの就任と「悪の枢軸」といった米国のあがきのような態度によって、事態は崖っぷちに向けて走り始めました。 

米国がブッシュ就任以降に触発させ長期化した葛藤のクライマックスは、昨年の大陸間のミサイル試験発射と水素爆弾の試験など「確実な対米抑制力」の最終的な誇示でした。 2000年に米朝国交正常化が行われて北朝鮮の国際資本主義体制の編入が行われた場合、核とミサイル問題は最初から生まれなかったはずでしたが、この17年間の米国側の強硬策はこのような結果を産みました。一つに対米抑止力は抑止力であるだけで、今日の資本化されていく北朝鮮指導層の最終目標は抑止を超えた対米正常化です。そうしてこそ、例えば中国とベトナムのように資本の流れの国際ネットワークに編入され、投資を受けて中国・ベトナムのような年間6%の成長率を見せそうなわけです。それで抑制力がある程度の完成を備えると、北朝鮮の指導部は1990年代序盤から宿望してきた事業、すなわち対米正常化事業に着手したのです。ちょうど韓国でも正常で対話可能な人々が政権を握り、韓国が1990年代末のように「橋渡しの役割」を行えるようになったのです。 そうして金正恩・トランプ会談の提案につなげましたが、その他を置いても北朝鮮の対外政策は徹底的に一貫したものです。 目標と方向は終始一貫で明らかです。 単純に話せば、体制の存続保障、敵対勢力に対する抑止と資本主義世界体制編入の二頭馬車です。

だとすると米国の狙いは?とても簡単です。 実は朝鮮は今、フィリピンやベトナム、タイのように「二股国家」に分類されます。 フィリピンは形式的に米国の准同盟国であるが非常に中国側に傾いており、朝鮮は形式的に中国の同盟国だが、実は中朝関係は1990年代序盤以降で最悪の地点にあります。朝鮮の国家理念は「自主」であり、例えばラオスカンボジア、ネパールなど、すでに中国中心の国際政治的体制に編入された周辺国と違い、朝鮮は「中間的位置」を望んでおり中国と米国との間の「漁夫の利」を狙いたいのだと思います。 そのロールモデルは、ベトナムのように歴史的関係が深い国です。 対米国交正常化が成功すれば、中国が見る観点での朝鮮は「身代金」が非常に上がります。そうすると、様々な角度から対中関係において、より有利な条件を獲得できるはずです。 

はっきり言っておきます。 社会主義者である私の立場からは、朝鮮指導部の資本化戦略も米国支配者たちの「中国周辺国取外し戦略」も何ら支持の対象にることは絶対にありません。 しかしそうでもして朝鮮半島の平和を取り戻すことができ、南北関係正常化と南北交流活性化、さらに双方の自由往来や軍縮などに向かうのなら当然すべて歓迎です。 また星条旗に対する一方的な「忠誠」を誇示する韓国支配者たちを毎日見ていると、むしろ中国と米国との間で自国実利の極大化路線をうまく歩む朝鮮の外交技術は正直言って羨ましいばかりです。 本当に羨ましいです…

[原文] [한겨레] 박노자 글방 :: 평화의 적기 (適期)

石丸次郎の朝鮮半島報道の抱えている問題点(ZED氏)

 

『*[石丸次郎]』の検索結果 - bogus-simotukareの日記より、ZED氏が記された「石丸次郎の朝鮮半島報道の抱えている問題点 2006年総連・民団和解の件を例にして」を転載します。

  

 石丸次郎というジャーナリストとその発言内容の何が問題なのか、という事を今一度おさらいしておきたいと思います。

 

 現在の日本、とくに2002年の小泉訪朝以降は北朝鮮バッシングや在日朝鮮人に対する偏見を扇動する報道が全く珍しくなくなりました。むしろ日本のマスメディアに氾濫していると言って良いでしょう。ただそれでも、そうした右派の書いた北朝鮮バッシングや在日朝鮮人への偏見を煽る露骨な記事や発言は、こうした2002年以降の日本のひどい社会状況でも批判する人や機会がまだいくらかありました。石原慎太郎橋下徹は言うに及ばず、拉致問題関連団体に対しても大手マスコミでは無理でも小さな媒体やインターネット上ではまだいくらか批判の声がある事はあったのです。

 

 ところがこうした無数にいる日本の「反北朝鮮派言論人」の中でも不思議と批判的論評に晒される機会が極端に少ない(と少なくとも筆者には思われた)おかしな人間がいました。それこそが石丸次郎に他ならなかったのです。この男のシンパが書いた礼賛の言葉は嫌になるくらい聞いてきましたが、逆の評というものはこれまでまず聞いた事がありません。では石丸次郎の書いた記事や発言内容がそんなに優れていたのか? そんな事は全くありません。石丸次郎の北朝鮮関連記事などそうした腐るほどある「北朝鮮バッシング」のほんの一角でしかなく、記事の内容もそこらの右翼・保守派の評論家や記者が書いたものとさしたる違いはないのです。別の「反北朝鮮派言論人」の名前に誰でもいいから差し替えて発表したとしても、主張や内容面でほとんど見分けはつかないでしょう。

(中略)

 こうした石丸次郎の朝鮮半島観に一貫して流れているのは「朝鮮半島問題は何もかも全て北朝鮮だけが一方的に悪い」という歪んだ意識に基づくものです。映画「送還日記」で石丸の旧友だった金東元監督もいみじくも語っていたように、転向後の石丸は朝鮮半島問題の原因と責任を何もかも北朝鮮だけにおっ被せて、他の原因、とりわけアメリカ(と同時に日本も)が南北朝鮮に及ぼしている軍事的・政治的・社会的影響を全く考慮しようとしません。これは他の凡百数多在る「反北朝鮮派言論人」達とも全く違う所のない点です。

 

 考えてみると、かつてはここまで露骨な北朝鮮バッシング論客というのは基本的に右派・保守派メディアが主な活躍の場でした。ところが石丸の場合はそうでなく、むしろ比較的左派・リベラル系・市民派と見なされてきた媒体や団体で主に活動を続けてきたのです。サンデー毎日はもちろん、週刊金曜日もそう。一部の左派的市民団体の集会に呼ばれたりもしますし、何よりも石丸自身の所属する「本籍地会社」のアジアプレス自体が世間一般的にはそうした「市民派メディア」のイメージで見られているでしょう。つまり後の「佐藤優現象」の先駆者とも言えるほど、石丸は左派・リベラル系媒体で右派・タカ派的な北朝鮮バッシング報道・発言を繰り返してきたのです。今でこそ左派・リベラル系媒体でもひどい北朝鮮攻撃記事は珍しくありませんが、そうした現象はかなりの部分を石丸によって「開拓」されたと言って良いでしょう。北朝鮮報道に関する限り、石丸は佐藤優の「大先輩」と言う事が出来ます。

 

 そもそも石丸はなぜそのような事、つまり左派メディアで右派・タカ派的な北朝鮮バッシング報道を敢行する事が出来たのでしょうか?

 

 それは本人が左派・市民派・リベラル系媒体に出入出来るようなイメージ・虚像を、それこそ涙ぐましい、時には滑稽なほど必死になって作り上げてきたからです。今はそうでもないのですが、何年か前までは日朝国交正常化関連の集会に石丸が出て来る事は珍しくありませんでした(中略)し、その場でなんと「リムジンガン」を売ってたりする事までありました。

 

 またこの男は時折適度に「良識的」なセリフを言って、自分が他の「反北朝鮮派」と違うのだという事をアピールしたりもします。例えば朝鮮高校の無償化適用を「拉致問題を理由に」除外するのは反対だ(注:ただし「教育内容を理由に除外」は石丸は賛成)などと言ってみせたり、佐藤勝巳のような歴史修正主義者とは一緒に行動出来ないなどと言って、その手の狂信的な極右系とは違うかのように振る舞う。

(中略)

 そして何よりも在日朝鮮・韓国人に友人がいる事や、その人権を擁護しているかのように主張する事でしょう。石丸がこれまでに手を組んできたり持ち上げて利用して来た在日の著名人には朴斗鎮や辛淑玉、ぱぎやん(趙博)などがおり、2002年の「北朝鮮報道のあり方を考える会見」などはその最たるものでした。

(中略)

 こうした涙ぐましい扮装が功を奏して、あれだけひどい北朝鮮報道を繰り返しておきながら単なる右翼と見なされる事を回避するのに成功し、左派・市民派・リベラル系媒体に活動の場を獲得するほど「良心的北朝鮮批判者」のように振る舞う事が出来たのでした。

 

 もちろんこれは壮大な誤解、それも当人が意図的に作り上げた自己の虚像に基づいたものに過ぎません。虚像はどこまでも虚像です。にも関わらず、石丸次郎のシンパ・支持者達はこうした問題が全く目に入らないのかこの男を礼賛し、結果石丸はこれまでさしたる批判に晒される事もなく、現在に至るまで「北朝鮮報道の第一人者」という「尊称」を奉られてきました。その結果、どれだけ北朝鮮と日本の外交関係悪化や軍事的緊張を高めたり、日本国内における北朝鮮や総連・在日朝鮮・韓国人へのイメージ悪化と民族差別がひどくなるのに大きな影響を与えたか計り知れません。

 

 昔のように右派・保守派メディアだけで北朝鮮バッシングをやる分には、まだ与える影響に程度がありました。ところが、本来ならば平和や対話を主張したり民族差別に反対するべきはずの左派・市民派・リベラル系メディアで、石丸のように右派・タカ派そのものの北朝鮮バッシング報道が行われれば、そちらの方がはるかに悪影響が大きいのは言うまでもありません。それまで北朝鮮バッシング報道を「右翼・レイシストのやる事だから」と思って相手にしなかった者でも、「左」の側から同じ事が報道されたら「やはり北朝鮮は悪い国であり、朝鮮人を日本社会から排斥するのはやむを得ない事なのか」と勘違いさせる危険がはるかに高いでしょう。

 

 石丸はこれまで自身が民族差別に反対してきたかのように振る舞っていますが、実際にこの男のやってきた報道内容を考えればとてもそんな事は言えないはずです。あれだけひどい北朝鮮バッシング報道をして結果的に在日朝鮮人への偏見を高めるような真似をしておきながら、民族差別に反対してきたなどとんでもありません。口先の言い逃れとは違って、実際には石丸次郎こそ在日朝鮮人への差別・偏見を扇動してきた日本の言論人の代表的な一人です。

 

 筆者がこれまで石丸次郎批判を繰り返して来たのは、この男の反北朝鮮報道が目に余るにも関わらず、それに対する批判や反論が他にほとんど見られない為でした。この男の「在日の人権を擁護するかのように振る舞いながら、実際にはそれを破壊するような報道ばかりをする。また、その口先だけの『良識派』ぶった装いで、従来なら右派メディアの独壇場だった北朝鮮バッシングを左派メディアでも大々的に行う事に成功し、北朝鮮との軍事的緊張を高めたり在日朝鮮人への差別・偏見を煽って社会的悪影響を及ぼす」という悪質な手口(注:石丸版「佐藤優現象」)をどうしても看過出来なかったからに他なりません。

 

 そこで今一度、この男の報道内容がいかにそこらの右翼のアジビラと違いのない、今の日本ではありふれた北朝鮮バッシングの一つに過ぎないものかという事を御覧いただきたいと思います。サンプルとして例示するのはやや昔の出来事ですが、2006年の総連と民団の和解と結果的にそれが破談した出来事の記事にしました。これを石丸の書いた記事と、韓国で報道されたある記事とを比べてみる事にしましょう。

(中略)

まずは以下のリンク先記事を御覧下さい。これは当時石丸次郎が発表した「総連・民団和解」について述べた記事です。これはアジアプレスのホームページで今でも配信されていますがそちらは有料になっているので、阿修羅という掲示板に転載されていた方を御覧いただきましょう。

 

民団ー総連`歴史的野合`の舞台裏(石丸次郎の‘言わしてもらいます‘29)

http://www.asyura.com/0601/asia4/msg/822.html

 

次に御覧いただきたいのがやはり同時期に発表された韓国のウェブ新聞プレシアンに掲載された、この件に関する記事です。

(中略)

「民団-総連和解」白紙化 北朝鮮のミサイルの為だと?

「日本政府圧力」「民団内部葛藤」ですでに白紙化

 6日午前、在日本大韓民国居留民団(民団)が、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)との和解宣言を白紙化したと発表した。民団が明らかにした直接的理由は「ミサイル」の為だ。

 だが、「民団と総連の和解宣言白紙化」は先の6月24日に開かれた民団の臨時中央委員会で決定された事に変わりはない。事実上白紙化された状態で北朝鮮のミサイル発射が公式発表の契機となったのだ。ならば先の5月17日に電撃的な「和解宣言」以後に一体どのような事が起こったのだろうか

 5月17日、民団・河丙オッ(ハ・ビョンオッ)団長は東京の朝鮮総連本部ビルを電撃訪問していわゆる「5.17宣言」を発表した。民団と総連が互いに和解して協力していくという内容であった。

 だが発表されるや否や、民団内部の反発が大きかった。事実上「5.17宣言」は、民団の基盤組織を担当している保守的な地方団長達に共感を得る事が出来なかった中で飛び出した突然の措置であったからだ。


・民団-総連和解宣言は6月24日にすでに白紙化

 日本の在日同胞社会の消息に精通したある人士は「和解宣言自体が、河団長が地方団長達との共感や合意なしに発表したものであった為、地方団長達は『民団は卑屈だ』という表現まで使って強烈に反発した」とし「これに先の6月24日臨時中央委員会で河団長が地方団長達の前で謝罪するに至った」と説明した。

 6月24日中央委員会では170余名の中央委員が集まったが、一部強行保守派委員達は「河丙?は退陣せよ」「民団に親北勢力が浸透した」として執行部を猛烈に攻撃し、河団長の退陣を要求して中央代議員大会召集を要求した。

 まだ河団長の退陣を骨子とした代議員大会召集の可否は決定していなかったものの、河団長は中央委員会で「事実上5.17共同宣言は白紙化された」として総連との和解を推進した5人の副団長を更迭した。民団内保守勢力に屈服したもので、5.17宣言はすでにこの時に無効化していたのである。

 また、総連との和解に対する民団内部保守勢力の強力な反発は日本社会の極右化の動きと反北朝鮮、反総連の雰囲気とも無関係ではない。

 北朝鮮と日本が「横田めぐみ遺骨」返還問題などで葛藤をもたらし始めて以降、総連は公式的に「総連」という名前を掲げて活動するのが難しいほどに日本国内で孤立している境遇だ。対外活動がほとんど中断されたと見ても差し支えないほどだと伝えられている。


・日本政府、極右勢力、執拗に民団攻撃

 このような雰囲気は「5.17宣言」以後、民団も「反北朝鮮」の標的にした。5日の「時事ジャーナル」によれば、5.17宣言以降に日本右翼達は民団中央本部ビルの前で「民団は日本から出て行け」「竹島は日本の領土」という掛け声を上げて、3日間にあげずデモと街宣を実施して民団を圧迫した。

 「産経」「週刊文春」など日本保守マスコミも河団長が「親北人士」だという色分け論を繰り広げて民団攻撃に出て来た。これらマスコミは河団長が総連系大学出身だと報道したが、事実確認の結果、河団長は東京法政大学生時代に総連系朝鮮学校で3年間英語教師として活動したのが全てである。河団長はこれまでの30余年間民団の主要人物として活動し、この前歴が問題になった事は一度もない。実際に民団所属在日同胞達も、韓国語教育などの為に子女達を総連系民族学校に送る場合が多い。

 これよりもさらに深刻なのは、日本政府が民団に圧力を加え始めたという事だ。最も具体的な事例としては、横浜市が5.17宣言以降に、民団支部が所有する建物と敷地に対して取ってきた固定資産税減免措置を取り消して今年から270万円(約2500万ウォン)の税金を賦課すると通知してきた事が挙げられる。その間、民団の建物はマウル会館のように「公益施設」に分類されて免税の恩恵を受けて来た。日本政府が総連の施設に税金を賦課してきたのと同様の圧迫手法である。

 日本の国会でも政府に対する質問形式で、民団に対して総連と同じ水準の制裁を取れると恫喝をし、日本国税庁警察庁なども民団系企業家達に「税務調査」などの圧迫を課したと伝えられた。

 ある消息通は「日本内民団系企業家の相当数がパチンコ屋を運営しているが、関係当局が税務調査に入ったらいくらでも潰す事が出来るほどに政府の圧力は致命的」と伝えた。

 総連を目の上のタンコブのように見なしている日本政府と右翼などの勢力が「5.17宣言」以降「民団も総連のように追及出来る」と圧迫を加え、そうでなくとも総連との和解宣言に不満を抱いていた民団内保守層が強く反発に出て来たのだ。

 ここに「横田めぐみ遺骨問題」で日本内反北朝鮮世論が逆巻いた時点でミサイルまで発射され、民団はこの時点で「ミサイル」問題で騒ぎたって総連との和解白紙宣言を公式化する機会にしたとの分析だ。


・同胞社会、朝鮮半島情勢によって右往左往

 だがこうした「和解白紙化」によって、60年間続いてきた民団と総連の葛藤が解消するという期待すら水泡に帰するのではないかという憂慮の声が強い。

 民団と総連は「親南」「親北」の主張を掲げて活動してきながら葛藤と緊張関係を続けてきた。だが、世代を重ねる毎に南北どちらかに片寄った主張は薄れ、それだけ新世代の民族性も退色していっているのが事実だ。したがって、民団であれ総連であれ既存の慣行を捨てて積極的な改革に出なければならないという声が大きい。河団長の推進した「和解宣言」もこのような脈絡から下された決断であった。

 河団長は5.17宣言過程の非民主制、内部反発などによって総連との和解を白紙化したが、再び民主的手続きを経て総連との和解を試みるという意思を捨てていないだろうと知られている。だが北朝鮮のミサイル発射によって「和解再試行」の時点は遅らせる以外にないようだ。

 韓日、朝日関係の風向きによって様子を見るしかない在日同胞達が大手を振って交われる日は果たしていつであろうか。

金ハヨン記者

(訳 ZED)

 韓国語原文記事はこちら。原文でも読める方はぜひそちらでもお読み下さい。

http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=60060706172034&Section=

 

 両者をお読みなって比較されればもう一目瞭然でしょう。いかに石丸次郎が「総連・民団和解」という出来事を貶めるのに躍起になっていたかを。「歴史的野合」「時の権力者へのゴマすり、おべっかともとれる言葉を並べ、締めくくりは金の無心」「財政難の民団」「在日朝鮮人100年の歴史の最大の悲劇である<北朝鮮帰国事業>」「メディアから訊かれたくないことがあまりに多かったからであろう」「このようなことを‘欺瞞‘というのではないか」といったあらん限りの罵詈雑言が並べ立てられており、その間に在日が日本社会の差別や本国の情勢にどれだけ翻弄されてきたかという歴史など一切考慮しない、まさに誹謗中傷の塊のごとき記事と言って良いでしょう。これを「右翼のアジビラ」と言わずして何と言うのでしょうか。

 

 やはり同じ時期に産経や週刊文春などの日本右派メディアがこの件についてひどい誹謗中傷記事を垂れ流しましたが、それと石丸の記事にどれほどの違いがありましょう。櫻井よし子も当時同様に「総連・民団和解」を攻撃する記事を書いていましたが、上記石丸記事の執筆者名を「櫻井よし子」に入れ替えても全く違和感ありません。

 

 挙句の果てには自身の在日シンパである朴斗鎮やぱぎやんの言葉を引用して正当化を図る。いかにも「俺には在日の支持者や友達がいるんだ。だからこの記事も民族差別に基くものじゃない」と言わんばかりです。石丸の記事によそが発表した同種同類の記事と違う点があるとすれば、こうした「私の周囲の在日韓国・朝鮮人の知人・友人たち」の声とやらを引用する形で「自分がいかに差別主義者ではないか」という「言い訳・弁明・言い逃れ」を試みているというくらいでしょう。

 

 一方、プレシアンの記事はどうでしょうか。こちらは事実経過を丹念に追った丁寧な仕事であり、在日朝鮮・韓国人の置かれている過去の歴史や小泉訪朝以降の現況なども踏まえて「総連・民団和解」の件を記した良質な記事と言えます。

 

 この記事には注目すべき情報がいくつもあるのですが、まず当時の民団団長であった河氏の履歴について。当時日本の右派メディアは河氏について「朝鮮大学を出た総連シンパ」という報道を繰り返し、今でもウィキペディアの氏に関する項目や、ネット右翼のサイト・掲示板ではそのように書かれていますが、それが全くの誤りであった事が明らかになっています。学生時代に朝鮮学校で3年間だけ英語の先生をやった、というだけであって、それ以外に河氏が朝鮮学校に在学したり総連の組織に在籍していた事などありません。これなどひどい謀略デマ情報以外の何者でもないでしょう。何も知らない日本人は勘違いしやすいのですが、総連と民団という組織の「政治的対立」はあれども在日の社会は狭いもので、日常の生活では双方の系列の人間が頻繁に交流しています。それは人間の営みとして当然の事でしょう。同じ家族・家庭の中で朝鮮籍韓国籍が混在しているなど当たり前ですし、上記記事にもあったように韓国籍の親が子供を総連系の民族教育機関に送る事も当たり前です(もちろんその逆の例もあり)。河氏の場合もそうした当たり前の例に過ぎず、それを大幅に捏造して「総連・北朝鮮のシンパ」呼ばわりするなどとんでもない大嘘に過ぎません。

 

 石丸次郎が自身の記事中でこうした河氏の履歴に関する怪しげなデマを引用しなかったのは、敵ながらあっぱれと、まあ褒めておきましょう。ただし石丸はそうした世間一般に広まっているデマを正して事実を書くような事もしてはいません。単に怪しげな情報だから扱わなかったか、事実を知っていても都合が悪いから黙殺しただけだと思われます。

 

 さらに最も重要なのは、当時この「総連・民団和解」に対して日本政府や右翼からの凄まじい妨害や圧力や攻撃があったという事でしょう。いわば官民一体となった日本社会そのもの、「オールジャパン」でこの在日朝鮮・韓国人社会の和解を破壊したという事実です。小泉訪朝以後の拉致フィーバーから、北朝鮮への制裁と連動して総連の関連施設への税金減免措置などが解除されるといった圧力・弾圧が続いていますが、日本政府はそれと同じ事を民団に対してもやろうとしました。総連と和解しようとしている、という理由でね。もちろん総連系企業家(中略)に対する税務調査も当局は制裁・圧力の一環として繰り返してきましたが、それを民団系にまでやるぞという恫喝を国会質問で行いました。

 

 まさに国家ぐるみの人権侵害・弾圧、民族差別政策そのものではありませんか。

 

 また、右翼団体が民団の本部へ連日のように街宣を掛けていた事も日本ではほとんど知られていません。この時右翼は何と言って街宣をしましたか? 「民団は日本から出て行け」ですよ。このスローガンは単に民団という組織だけに浴びせられたものではありません。全ての在日に対して浴びせられた差別的言辞です。例え民団や総連のような既存の民族団体に良い感情をもっていない在日であっても、そのような事を言われれば怒るのが当たり前であり、そのように受け取る事が出来なければ人間としておしまいでしょう。そもそも自分達の内部対立を自主的に解消しようという行為を、何で日本人にあれこれ言われて妨害されなければならないのか! 

 

 やはり石丸次郎の在日シンパの一人である辛淑玉は、かつての自著で「日本人から『朝鮮に帰れ』と言われる事が一番傷付く」と言っていた事がありました。ところがどうでしょう。辛淑玉は石丸のシンパというだけでなく、南北首脳会談や総連と民団の和解に対して嘲笑し、極めて冷笑的な態度を貫いてきました。まさにその総連・民団和解の最中に右翼が民団に対して同様の事を言ったのです。辛淑玉はそれでも何の怒りも悔しさも感じなかったのでしょうか。後々まで辛淑玉は、総連・民団和解妨害派である石丸と何の疑問も矛盾も感じず共闘している事から、あの時の右翼のスローガンを己に浴びせられたも同然とは受け取っていないのは明白です。これはこの女がすでに在日としてどうかという以前に、人間としてすでにおしまい状態である事を端的に表しているでしょう。

 

 当時の「総連・民団和解」において批判されるべき部分があるとすれば、河氏の手法が根回し不十分で拙速であった事、民団内部の保守派が想像以上に頑迷な化石頭であった事などでしょう。地方団長達への説得や根回しが不十分な為に、急速なトップダウン方式が反発されたのは政治的手法として確かにまずかったと思います。急ぎ過ぎた、という事はあったでしょう。あるいは本国の南北対話と和解、それと全く違う日本社会の逆風という情勢を考えれば、今のうちになるべく早く進めるべきという考えもあったのかもしれません。その点では非常に舵取りが難しく、結果が残念でなりません。また、民団内保守派も21世紀の現在においても今だにかつての軍事政権時代を懐かしんでそれを支持し、頑なに同胞同士の対立を旨とする姿勢には幻滅を禁じ得ません。その後、河氏は追い落とされ、再びそうした超保守派達が主導権を握った現在の民団では、日本の右翼と一緒になって総連への街宣攻撃を繰り返しているのですから。民族・同胞社会に対して真に害をなし、弓を引く者は果たして誰なのか?

 

 細かな問題は他にあれども、総連と民団の和解という行為自体は在日社会において否定される謂れのない「社会正義」そのものです。それについては例え両組織に反発を持った在日であっても否定は出来ないでしょう。本来ならば。しかしながらそれは、そう思わない一部の例外的な在日達と、日本社会そのものの圧力によって頓挫させられました。

 

 果たして石丸がこうした経過と背景をどれだけ詳細に報じたでしょうか。上記石丸の記事に、当時の日本政府や右翼の弾圧・圧力・妨害行為について一言でも触れていましたか? 何一つありません。それどころかこの件を単なる「民団の財政問題」に矮小化して、金目当ての下劣な行為のようにあげつらいました。さらに当時の盧武鉉大統領への表敬文書を「時の権力者へのゴマすり、おべっか」とまで中傷しています。民団が本国の南北和解に賛意を表するのが、石丸にとっては非常に気に入らなかったようです。どう見ても石丸次郎という男、朝鮮半島の平和や和解を望んでいません。挙句には「金の無心」とまで。では、石丸の言う通りに民団の財政が危機的状態だとして、そのような団体に税金面での圧力をかけてまで恫喝した日本政府の手口は汚くないのですか。これは明らかに民族差別であり、民族的迫害そのものです。「在日朝鮮人問題にも深い知識と関心を持ち、常に差別に反対」(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会代表・三浦小太郎談)してきた石丸がこのような日本政府の卑劣な行為を非難せず、報じる事すらしなかったのはなぜですか? 答は言うまでもないでしょう。

 

 石丸次郎が「常に差別に反対」してきた? とんでもない。それが本当ならこの男に残された道は一つしかありません。それは筆を折る事です。

朝鮮の教科書をスキャンしたDVDを6万円で販売する、アジアプレス石丸次郎氏への質問について

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  朝鮮の教科書をスキャンしたDVDを6万円で販売する、アジアプレス石丸次郎氏宛に記された、ある方のFacebook投稿より転載します。
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アジアプレス 石丸次郎  
 アジアプレスが、朝鮮民主主義人民共和国の教科書をスキャンしデジタル化したDVDを200部制作し、1部を6万円で販売するとホームページで案内されています。
 石丸さんのDVD商品告知投稿 に、著作権者に了解を得ているか一昨日に質問しましたが、ご返答をいただけなかったことから、了解を得ていないと理解しました。
 商品のDVDを全て売り切れば1200万円の売上になりますが、著作権を持つ朝鮮の教科書制作機関には一銭も対価が支払われないのではないでしょうか。
 また書籍をデジタル化することは、不正に情報流通がされる危険がありますが、不正流通を防止する対策をどのように行っているのでしょうか。
 アジアプレスのDVD商品販売は、刑事罰対象として逮捕された業者のDVD商品販売との質的な違いが見当たりません。
 朝日新聞2016年11月30日記事 より引用します。
《人気漫画をスキャンして複製し、不正に販売したとして、京都府警は30日、書籍電子化代行業、木下裕喜容疑者(35)=京都市左京区下鴨南野々神町=を著作権法違反(複製権の侵害など)の疑いで逮捕し、発表した。
生活経済課によると、木下容疑者は4~7月、漫画「坂本ですが?」「アフォガード」の計16冊を電子データに複製したほか、4月には同様に「るろうに剣心」「進撃の巨人」など計48冊を処理し、男女2人にDVD計3枚を約5700円で販売した疑いがある。》 
 アジアプレスの今回の商品は、逮捕された業者より高額で大量なことから、さらに悪質と感じますが、著作権を侵害する商品を公費で購入すると表明された研究者がいることにも驚かされます。朝鮮に対しては、著作権侵害に加担しても許されると思われているのでしょうか。
 石丸さんは、刑事罰に問われた販売と同質で、著作権者より賠償請求をされたら申し開きができないことを行われながら、2011年の最高裁の不当な判決(*1)(*2)により、その罰から逃れられると考えておられるのでしょうか。
 しかし著作権を侵害した販売行為が、ジャーナリスト倫理にもとると思われないとすれば、ジャーナリストを自認される資格を疑います。
 教科書資料集のDVDは、明日の2月20日から渡す予定だと商品紹介ページに記されていますが、石丸さんは著作権を侵害したこの商品販売をそのまま推し進められるつもりでしょうか。
 

 

 

【記者コラム】こんな無罪とは…朴裕河の場合(京郷新聞)

 

昨年、平壌で第7回労働党大会を取材中だったBBCの記者が金正恩労働党書記の失礼な報道をしたという理由で3日間抑留された。同じ頃に日本の産経新聞記者も、朴槿恵大統領に関する記事のために8ヶ月間抑留された。名誉毀損と出国禁止という法律用語を使ったが、本質は変わらない。

 

名誉毀損、この言葉が否定的に感じられるのは、政治権力が不当に使用しているためだ。政権は権力監視を個人攻撃だとして、損害賠償を要求し刑事罰を試みる。しかし、名誉毀損罪の罪罰を問うこと自体は悪ではない。名誉毀損は憲法が保障した人格権の侵害であり、人格権は表現の自由に劣らない基本的権利である。

 

言論(著述)による名誉毀損は、何によっても違法である。米国と英国では厳重な損害賠償責任を負う。数十億ウォンの懲罰的損害賠償が認められることも数多い。ドイツとフランスであれば、損害賠償に加え刑事犯として処罰される。ただし公益の目的があり、真実であれば責任を逃れる。真実の発見だけが人格保護より優先される。

 

朴裕河・世宗大教授の1審裁判が終わった。 『帝国の慰安婦』により慰安婦の名誉を毀損したとの民事と刑事裁判だ。まず、2015年民事裁判所が著書表現の削除要求を認め、2016年には慰安婦被害者に対する損害賠償を命じた。先月、刑事裁判所が名誉毀損容疑で無罪を宣告した。朴教授は「賢明な判断だ」と述べた。

 

問題の本もそれに反論した本も繰り返し読んだ私は、無罪判決文を求めた。名誉毀損を認めた2つの民事判決からどのように突破したのか気になったからだ。被害者が存命する歴史的事実をどこまで記述することができるかどうか、裁判所は厳しく論証するはずだった。アメリカ、ヨーロッパ、国連が関与した世紀の出来事であり、表現の自由に関する世界の裁判である。

 

判決文に目を疑った。これといった論証がなに一つ見あたらなかった。すべての叙述は、事実(fact)と意見(opinion)に分けられる。事実は、真実(truth)と虚偽(false)に分けられる。名誉毀損は、事実、つまり虚偽を記述した場合に該当する。意見は刑事処罰の対象ではない。しかし現実は、事実と意見が入り乱れた場合が数多くあり、そのため判事は事例を調査し、判例を研究する。

 

先に行われた2つの民事裁判は熱気があった。 2015年の名誉毀損表現の削除が要求された裁判では、民事裁判所は34箇所で(虚偽)事実と名誉毀損があるとした。 2016年の損賠賠償の裁判でも同様の作業を経て、名誉毀損と人格権の侵害を認めた。刑事事件は、すでに認定された34箇所を含めた35カ所の名誉毀損について争った。ところが、裁判所は30ヶ所を単純な意見だとした。論証はしなかった。

 

イ・サンユン裁判長は35ヶ所の表現が真実なのか虚偽であるかを分けもせず、歴史記述の限界点を明らかにもしなかった。そして判決文にはこう記された。 「不明瞭な概念や抽象的であいまいな表現、前後矛盾したものと見られる記述などが多数発見されたことなどに照らしてみると(中略)、被害者に対する既存の社会的評価に有意なほどの負の影響を与えることは難しい。 」

 

大雑把に言えば、朴教授の粗い研究と難解な表現のために名誉毀損を行うことに失敗したということだ。そのためか、「性急な一般化、過度な飛躍、論理誤謬」などの学界の評価も裁判所は認定した。こんなにも簡単な判決で、歴史的な紛争が整理されるのだろうか。


「名誉を保護してくれるとの信頼がない社会では、人々が意思形成過程に参加することを躊躇する。このような社会での表現の自由とは、他者を考慮せずに自身の意見を貫徹しようとする、個人等の専有物となる危険性がある。」これは、法科大学の憲法教科書の「表現の自由」についての解説である。結論に1行無罪と記すだけで、表現の自由が保護されるわけではないのだ。

 

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社会部 イ・ボンジュン

[原文] [기자칼럼]이런 무죄라니, 박유하의 경우 - 경향신문

 

「少女像撤去」の立場の民団...駐日大使「慫慂」論議

[アンカー]

駐日韓国大使が在日同胞団体の民団に、少女像撤去を要求するように直接要請したものと明らかになりました。

日本の安倍政権と同じ主張を行うことが、韓国大使として正しいことなのか、議論が起きています。

イ・ジョンホン特派員です。

 

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[JTBCニュース動画]「少女像撤去」の立場の民団...駐日大使「慫慂」論議 [日本語字幕]

 

[記者]
先月18日付のイ・ジュンギュ大使のフェイスブックです。
「在日同胞の被害は現在進行形である。大使として痛みを無視することはできない」と民団が少女像撤去を要求したという記事を掲載しています。
 
しかし先月6日、この大使が立場発表を先に要請したとの証言がありました。
 
民団中央本部の関係者:「あなたが(少女像問題の被害)直接当事者として声を出していただくのが、全体的な努力の一つになると...」
 
実際、民団はその1週間後、「慰安婦少女像をなくすということが、100万在日同胞の共通考えだ」と明らかにしました。
 
金富子・東京外国語大学大学院教授:「駐日大使館が民団を通じて政治的介入をしてはなりません。なぜなら、在日同胞社会にも様々な声もありますので。」
 
1年に80億ウォンの政府支援を受けている民団は悪化した日韓関係の打開のためのものだったと説明しました。
 
大使の要請を民団が拒絶するのは難しいのが現実だとの指摘もあります。
これをよく知っている大使が、少女像撤去を要求するようにしたのは適切でなかったという批判が出ています。

東京から、JTBC イ・ジョンホンでした。
 
※「慫慂」:他の人が勧めてそうするように仕向けること。
 

【出典】[JTBC] "소녀상 철거" 입장 낸 민단…주일 대사 '종용' 논란
http://news.jtbc.joins.com/article/article.aspx?news_id=NB11413428

「履行vs無効」…韓日慰安婦合意、「論難の1年」

「合意履行」に忠実な韓日政府…「合意無効」を叫ぶ被害者ハルモニたち

マネートゥデイ 李ゴニ記者  2016.12.24

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来る28日は、「韓日慰安婦合意」がなされてから満1年になる日だ。写真は平和の少女像に毛糸の帽子とマフラーが着せられている様子。 

 

 昨年12月28日、韓国と日本は外交長官会談を開き、日本軍慰安婦問題を「不可逆的に」解決しようという合意をした。妥結のニュースが伝わると、被害者の李容洙(イ・ヨンス)ハルモニは「合意の結果を無視する」と憤激した。

 しかし、両国政府はこれを無視して、合意事項を履行した。被害者のハルモニたちを中心とする市民社会は、合意に反発した。1年が過ぎた。今月28日は、慰安婦合意が妥結して満1年になる日だ。

 当時、合意の主な内容について日本側は、△責任を痛感△慰安婦被害者の支援をする財団の設立などを表明した。韓国側は、△日本政府の措置に協力△駐韓日本大使館前の少女像の適切な解決などに言及した。両国の共通点としては、「合意事項を実施することを前提に、慰安婦被害者問題が最終的および不可逆的に解決すること」を宣言した。

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金テヒョン和解・癒し財団理事長が去る7月28日午後、「和解・癒し財団発足理事長記者懇談会」を終えて移動していた途中に、1人の男性からカプサイシンを浴びせられて苦しんでいる様子。

〇「着実な合意の履行」…日本の出資金で財団を設立し、一部の被害者に出資金の支給までした韓国政府

 韓国政府は、合意の当日、朴槿恵(パク・クネ)大統領のメッセージを通じて「内容を忠実に履行する」という意思を確認した。3日後、大統領府は、「両国が共に未来へと進んでいく契機になるよう、大局的な次元で理解してほしい」と再び表明した。

 半年が過ぎた5月31日、韓国政府は、財団設立準備委員会を発足させた。それから2か月後の7月28日、「和解・癒し財団」が正式に発足した。

 財団の発足後、日本から出資金を受け取り、被害者の一部に現金が支給されるまでかかった時間は、約4か月だった。去る9月1日、日本政府は、合意に伴う10億円(当時のレートで約108億ウォン)を韓国に送金した。

 これを受けて和解・癒し財団は、政府が認定した日本軍慰安婦被害者238人を対象に、現金支給額を決定した。生存する被害者には総額1億ウォン、死亡した被害者には総額2000万ウォン規模の現金が支給される方式だった。

 支給の決定の当時、挺身隊問題対策協議会(挺対協)の「安らぎの家」と「ナヌム(分かち合い)の家」などの被害者支援施設に滞在している10数人の被害者ハルモニは、「受領拒否」の立場を表明した。

 和解・癒し財団は、去る11月16日に「昨年の合意当時46人だった国内の生存被害者ハルモニのうち、23人に出資金を支給した」と発表した。続いて今月23日には、「先月出資金を支給した方々を含め、合計34人のハルモニが受領の意思を表明した」と伝えた。

 韓国政府は、「合意履行」の態度を維持し続けてきた。去る10月に発行された外交白書では、「(昨年に妥結した合意が)被害者の要求と願いが最大限に反映されるよう、交渉に最善の努力を尽くした結果」だと評価した。

 今月15日にも外交部は、定例会見で合意履行の立場を再確認し、18日に黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行国務総理も、慰安婦合意について「変動はない」という立場を表明した。

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朴槿恵大統領と安倍晋三首相が9月7日午後(現地時間)、ラオスのビエンチャン国立コンベンションセンターで首脳会談を行っている。

〇「強制性を否定」…合意後、歴史を書き換えようとする日本政府

 韓日慰安婦合意の直後、安倍晋三首相は、「のちの世代に謝罪という宿命を負わせることはできない」と言った。これは、日本政府が慰安婦の強制性を否定する動きへとつながった。去る2月17日、日本政府は、国連女性差別撤廃委員会の会議で、慰安婦動員の強制性を否定したうえで「事実関係を話しするにとどめる」という一方的な立場だけを表明した。

 歴史教科書の記述の変化もあった。去る3月に日本で検定を通過した教科書の一部には、「慰安施設には朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が募集された」などの強制性を除外した文章が含まれていた。

 約束した出資金10億円を送金した日本政府の態度は、いっそう大胆になっていった。安倍首相は、去る9月7日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれた朴大統領との首脳会談で、「平和の少女像の撤去」を要求したのに続いて、10月7日に韓国で謝罪の手紙を送れという要請が起きると、「毛頭考えていない」と一蹴した。

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去る11月16日に開かれた「第1257回日本軍慰安婦問題解決のための水曜デモ」に参加した被害者ハルモニと市民たちの様子。

〇「忘れない」…慰安婦被害者ハルモニと連帯する市民社会

 慰安婦被害ハルモニをはじめとする市民社会は、韓日慰安婦合意に強く反発してきた。被害者ハルモニたちは「日本軍慰安婦問題佳克のための水曜デモ」(水曜デモ)と記者会見、インタビューなどを通じて、「日本政府の公式謝罪」と「法的賠償を通じた名誉回復」を要求した。90歳前後の高齢のハルモニたちの要請には、いつも「最後まで戦う」という内容が含まれていた。

 大学生は、昨年12月30日から、「合意無効」を叫んで、ソウル中区の旧日本大使館前の少女像の横で座り込みをして、「平和の少女像守護隊」を自称している。彼女たちは、今年12月21日時点で358日目の座り込みを続けている。

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「少女像防衛隊」に名乗りを上げた大学生が記録している日程のホワイトボード。

 全国、全世界に少女像を建立する動きも相次いだ。2016年だけで20数個の少女像が全国に建立され、最近ではオーストラリアのシドニーと中国の上海にも建てられた。

 去る2月には、慰安婦被害者問題を扱った趙廷來(チョ・ジョンネ)監督の映画「鬼郷」が封切られた。鬼郷は、7万5000人を超える市民がクラウドファンディングを通じて募金した製作費で14年ぶりに完成した映画だった。これに358万人の市民が観覧して興行旋風を巻き起こした。

 毎週水曜日の昼12時に、ソウルの日本大使館前の少女像付近で挺対協が主催する水曜デモが行われる。慰安婦合意によって、24年以上毎週行われてきた水曜デモには、「適切な謝罪と賠償のない韓日慰安婦合意を即刻破棄せよ」というスローガンが加わった。去る21日に300人以上が参加した第1262回水曜デモでも、参加者は依然として同じスローガンを叫んだ。

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水曜デモで発言する尹美香挺対協常任代表

 特にこの日、尹美香(ユン・ミヒャン)常任代表は、今月28日に開かれる水曜デモが韓日慰安婦合意の満1年になる日であり、今年最後の集会だという事実を発表した。 尹代表は、「毎年、最後の水曜デモの時には、その年に亡くなったハルモニたちを追悼する時間を持ってきた」と述べ、「今年は、亡くなった7人のハルモニを記憶するために、花を一輪ずつ供えに来よう」と提案した。 

 そして、「たとえハルモニたちが話せなくなって覚えてなかったとしても、私たちが記憶している」と述べ、「次の集会の時に慰安婦合意の無効宣言をしよう」と参加を促した。

www.mt.co.kr

 

ハン・サンギュン民主労総委員長に控訴審も有罪判決、平和デモ権利に対する弾圧(アムネスティ)

 

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アムネスティ・インターナショナルは、今日(12月13日)の控訴審裁判部がハン・サンギュン民主労働組合総連盟(民主労総)委員長の刑量を軽減しただけで、韓国政府の平和的集会の権利に対する不寛容な態度が変わったわけではないと明らかにした。

 
裁判所は、2014〜2015年の間に、一連のデモで公の秩序に関連する違法行為と、問題のある法律である集会およびデモに関する法律を違反したと、1審を減軽した懲役3年と罰金50万ウォンを委員長に宣告した。この判決で委員長が主催した一連の反政府デモで警察との散発的な衝突があったことについて委員長の責任を認定した。

 

ロジェン・ライフ(Roseann Rife)アムネスティ東アジア調査局長は、「全体的に平和的だったデモの主催者の一人という理由だけで、ハン・サンギュンが少人数の暴力行為に対する刑事責任を受けてはならない」と述べた。

 

ライフ調査局長はまた、「ハン・サンギュン起訴と有罪判決を維持は、当局が平和的集会の権利に対する不寛容を表わしている」と付け加えた。

 

ハン・サンギュン民主労総委員長は、7月に1審で懲役5年を宣告された。

検察はハン委員長が、警察とデモ隊の衝突があった2015年11月の反政府デモである「民衆総決起大会」の主催者として果たした役割に言及した。警察は、当時の全体的に平和だったデモに対して、放水を含む過剰な物理力を使用した。当時、警察の物理力の使用でデモ隊の中で負傷者が発生し、そこには至近距離で警察の放水銃を受け、最終的に死亡したペク・ナムギ農民も含まれる。

 

一年以上にわたり、当局はこの事件について徹底的な公開的な捜査を終えなかったったし、指揮官の責任についても追及したことがない。

同じ期間に検察が「民衆総決起大会」の参加者を司法処理した件数は100件を超えており、裁判所から懲役刑を宣告された人は数十名に達する。ハン委員長のほか収監されている民主労総組合員の数は5人いる。

 

ライフ調査局長は、「ハン・サンギュン事件が処理された速度は、ペク・ナムギ農民の負傷や死亡につながった物理力使用に対する捜査が遅れていることと対象的で、それは政府がペク・ナムギ農民と遺族に対して正義を実現させる意志があるのか​​を疑わせる」と指摘した。

 

ハン委員長は、人権活動家パク・レグンと前国会議員イ・ソクギなどと同様に、表現の自由や平和的集会の自由についての権利を正当に行使したという理由で、不当に起訴され懲役刑を宣告された。

 

今回の控訴審判決は、最近数週間に朴槿恵大統領に大規模な平和的なデモが続いている中で行われた。デモは、人権問題を含めて、様々な問題を提起幅広い市民社会の参加により行われている。

 

ライフ調査局長は、「最近、警察がデモ対応で自制心を見せているが、当局はこれが日和見主義的な政治的戦略以上であることを示す必要がある。それを示す明確なサインは、デモ主催者に対する不当な起訴を停止することだ」と述べた。

 

 【出典】한상균 민주노총 위원장 항소심도 유죄 판결, 평화 시위 권리에 대한 또 다른 공격 

    https://amnesty.or.kr/16169/

アムネスティ、「ハン・サンギュン委員長の懲役刑、不当で恥ずかしい」(2016年7月4日)

 

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有名な労働組合指導者に下された5年の懲役刑は、韓国で平和集会の自由権に対して韓国政府がどんな攻撃を行っているかを示していると、アムネスティ・インターナショナルが発表した。

 

月曜日に韓国ソウル中央地裁は、ハン・サンギュン韓国民主労総委員長に多くのデモの主催者としての彼の役割について有罪を宣告した。その中で最もよく知られているのが、2015年11月14日に概ね平和的に行われた「民衆集会」であった。


「ハン・サンギュンは平和な反対意見に対する韓国政府の無慈悲な弾圧を受けた犠牲者だ。彼に対する有罪判決は不当で恥ずべきことだ」と、アムネスティ・インターナショナル東アジア調査官アーノルド・ファンは述べた。


「今回の判決は、今後のデモ主催を阻止することにより、平和集会を行う自由と権利を萎縮させる効果がある。主催者は、いかなる場合にも平和デモを悪用した者の行為に責任を負うべきではない。」

 
8年の懲役刑を求刑した検察は、労組指導者としてのハン・サンギュンの行動がただの個人的行動というより、民主労総の「犯罪」行為であり、より広い意味での労働運動と見なければならないと主張した。

 

数万人のデモ参加者が昨年11月、政府に反対する「民衆集会」に参加し、ここで警察がデモ隊と衝突した。おおむね平和だったデモの間、警察はデモ隊に傷害を負わせる放水銃を含む過剰公権力を使用した。報道によると、少数のデモ参加者が鉄パイプと鋭い竹の棒で武装していた。


平和集会は、幾人かの個人の不法行為または暴力により、その平和的な特性を失わない。もし少数のデモ隊が暴力的な方法で行動する場合、警察は公共の秩序を守る過程で、彼らとそうでない人々を区別する必要がある。


2015年12月の民衆集会から25日間ソウルの寺で避難した後、自ら進んで出頭したハン・サンギュンを警察は逮捕した。ハン委員長は、公務執行妨害と交通妨害罪で起訴された。


労組指導部と労組員や他のデモ参加者の逮捕と拘禁は、ハン・サンギュン委員長のみに制限されなかった。 500人以上の民主労総組合員が集会参加の理由で警察に召喚され、現在までに13人がその集会参加に対して有罪を宣告され、8ヶ月から18ヶ月の懲役刑を受けた。

 

「自分たちの意見を平和的に表現したという理由だけで拘禁されたすべての人々はすぐにそして無条件に釈放されるべきである。韓国政府は、表現の自由と平和集会の権利を実行したという理由で人々を拘束することを中断する必要がある」とアーノルド・パンは述べた。

 

2016年1月、平和的デモと結社の自由の権利のために国連特別報告官マイナーキアイは韓国訪問後のレポートで、一般交通妨害のような罪状によりデモ参加者を起訴することは、事実上平和的結社の権利を犯罪と扱っているに等しいと記述した。

 

【出典】

● South Korea: Five year sentence against union leader a chilling blow to peaceful protest | Amnesty International

● 국제 앰네스티, “한상균 위원장 징역형, 부당하고 부끄러워” | TheNewsPro, 뉴스프로

 

「日本軍、朝鮮人女性30人銃殺」慰安婦虐殺記録の原本発見(京郷新聞)

 

・存在と一部の内容だけが知られていた「米中連合軍作戦日誌」の実物、初めて確認
・ソウル大人権センター研究チーム、米文書記録管理庁の現地調査を通じて発掘
・慰安婦証言に立証文書出現…「虐殺否定」の日本政府への反論根拠に

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日本軍の慰安婦銃殺を記録した中・米連合軍作戦日誌。(ソウル大学人権センター研究チーム提供)

 

「(1944年9月)13日夜(脱出に先立ち)日本軍が省(中国、雲南省腾冲)内にいる朝鮮人女性30人を銃殺した。(Night of the 13th the Japs shot 30 Korean girls in the city).」

 

日本軍による朝鮮人慰安婦虐殺の事実を記録した米中連合軍文書の原本が発掘された。これまで日本政府は、慰安婦被害者ハルモニたちの証言にもかかわらず、虐殺を実証的に立証する文書を要求しながら虐殺説を否定してきた。虐殺された慰安婦の死体が写された写真に対しても、米中連合軍の砲撃および爆撃で犠牲になったか自決したという立場をとっている。

 

慰安婦「虐殺」文書を発掘・公開したソウル大学人権センター研究チームは、ソウル市の支援を受けて去る7~8月、アメリカ国立文書記録管理庁の現地調査を実施して慰安婦資料113件を収集した。類型別にみると、日本軍捕虜尋問報告書をはじめとして日本軍捕獲資料の翻訳本、陸海軍情報および作戦報告書、捕虜収容所名簿および送還船乗船名簿資料などである。研究チームは去る4日、ソウル大で中間報告ワークショップを開き、資料発掘の内容と研究成果を発表した。

 

「捕虜収容所と日本軍慰安婦の帰還」をテーマに発表したイ・ジョンウン研究責任者(聖公会大東アジア研究所HK研究教授)は、「日本軍は敗戦直後、それまで連行していた慰安婦女性たちの存在を隠すために遺棄し、その最も極端な形態は虐殺であった」としながら、虐殺の根拠として日本軍の慰安婦女性30人銃殺を記録した中国・雲南遠征軍の1944年9月15日付作戦日誌を公開した。雲南遠征軍は同じ年の6月から中国-ミャンマー国境地帯である中国・雲南省松山と腾冲の日本軍占領地に対する攻撃を開始して9月7日に松山を、1週間後の14日に腾冲を陥落させた。日本軍の慰安婦銃殺は腾冲陥落直前の13日夜、脱出に先立ち実行された。

 

f:id:eastasianpeace:20161107150247p:plain軍が設置した第1沖縄捕虜収容所。ベ・ポンギさんをはじめとする朝鮮人慰安婦被害者の女性の多くがここで過ごした。(ソウル大学人権センター研究チーム提供)

 

韓国内で日本軍「慰安婦」問題が本格的に公論化されたのは1990年代初期からだ。しかし学問の研究成果は被害者ハルモニの証言を集める水準に留まっていた。研究の基本ともいえる資料収集もきわめて制限的であった。在米史学者パン・ソンジュさん(82)の努力で、慰安婦関連のアメリカの資料が言論を通じて単発的に公開されたが、後続の研究は不十分だった。慰安婦女性30人銃殺を記録した作戦日誌も1997年、パンさんを通じて国内に初めて存在が知らされたが、文書の所蔵先は確認できなかった。知らされた内容も日誌全体の一部に過ぎず、関連論文も出てこなかった。その作戦日誌原本の実体を確認したのは、今回が初めてだ。

 

研究チームのカン・ソンヒョン共同研究員(聖公会大東アジア研究所HK研究教授)は、「慰安婦問題と関連して日本にある資料に対する依存度が極めて高い状況だが、韓国の研究者が日本にある資料に接近することがますます難しくなっている」としながら、「連合軍作成資料だけでなく日本軍から捕獲した資料まで大量に保有しているアメリカの資料に目を向ける必要がある」と述べた。

 

この日のワークショップでパク・チョンエ共同研究員(東国大対外交流研究院研究・招聘教授)は、キム・ソラン(仮名)、パク・ヨンシム、コン・チョムヨプ、ムン・オクジュなど慰安婦被害者ハルモニの証言について調べ、これを裏付ける関係資料を一緒に公開した。慰安婦ハルモニの証言はそれ自体でも歴史的意味を持つが、国際外交現場で資料として立証されれば証言の意味はまた違ったものになる。パク博士は、「研究者は証言と関連資料を最大限取りまとめ、交差分析しなければならない義務がある」としながら、「これを通じて歴史的事件の本質を明らかにする上で、証言がどんな力と価値を持つのか示すことができるだろう」と述べた。

 

米軍がフィリピンと沖縄に設置した日本軍捕虜収容所資料を多数発掘したのも、今回の研究の成果だ。 研究チームはフィリピン収容所で作成した朝鮮人慰安婦43人の捕虜登録カードとともに、フィリピン・マニラから日本に向かった送還船の乗船名簿を確認した。チョン・カプセン共同研究員(ソウル大アジア研究所客員研究員)は、「捕虜登録カードと乗船名簿を交差分析すれば、今まで知らされなかった慰安婦被害女性たちを確認できるだろう」と述べた。 朝鮮人慰安婦の規模は最大20万人に達すると推定されるが、政府に登録された慰安婦被害者ハルモニ236人の他にはどんな被害女性がいたのかさえまともに把握されていない状態だ。チョン研究員は、「捕虜登録カードに被害女性の本籍地まで記録されている」としながら、「研究が進めば、知られないまま亡くなった方はもちろん、今まで生きておられる方々がどこでどのようにしておられるのかまで確認できるだろう」と語った。研究チームは、来年中に発掘資料の影印本と共に翻訳および研究課題を含めた資料集を発刊する計画だ。

 

【出典】“일본군, 조선인 여성 30명 총살” 위안부 학살 기록 원본 찾았다 - 경향신문

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201611062130015

拡大する韓国の危機(ニューヨーク・タイムズ11月3日社説対訳)

 

South Korea’s President Park Geun-hye is embroiled in a lurid corruption scandal that threatens to hamstring her remaining year in office. The scandal has plunged Ms. Park’s approval ratings to record lows, sent thousands of angry demonstrators into the streets, and sparked demands that she resign.

韓国の朴槿恵大統領は、残り任期を無力化させるほどの衝撃的な腐敗スキャンダルに包まれている。この腐敗スキャンダルは、朴大統領の支持率を過去最低に墜落させ、怒った数万のデモ参加者を街頭に送り出し、朴大統領の退陣要求に火をつけた。

 

The scandal involves Choi Soon-sil, a close friend of Ms. Park’s family. Ms. Choi’s father, Choi Tae-min, the founder of an obscure religious sect, was a spiritual adviser to Ms. Park’s father, the South Korean dictator Park Chung-hee, and to Ms. Park after her mother was assassinated in 1974. After Mr. Choi’s death in 1994, his daughter took over her father’s role at Ms. Park’s side. In that capacity, Ms. Choi, — who has never held a government job, has no security clearance and no policy background — was apparently deeply involved in state affairs. She also apparently used her influence to coerce companies into donating nearly $70 million to two foundations she controlled, and to secure her daughter admission at one of South Korea’s most prestigious universities. On Wednesday, South Korean prosecutors said they would bring criminal charges against Ms. Choi.

この腐敗スキャンダルは朴槿恵氏の家族や親しい友人のチェ・スンシルと関与している。実体が不明な一宗派の創始者であるチェ・スンシルの父チェ・テミンは、韓国の独裁者であった朴槿恵氏の父パク・チョンヒに、1974年の朴槿恵氏の母が殺された後、朴槿恵氏の精神的アドバイザーであった。 1994年チェ・テミンの死後チェ・テミンの娘が朴槿恵の隣で父チェ・テミンの役割を演じた。そのような関係から、公職もなくセキュリティ情報にアクセス許可もなく、政策的キャリアが全くないチェ・スンシルが国政に深く関与していた疑いがある。チェ・スンシルはまた、自らの影響力を利用して、自身が運営していた二財団法人に約7万ドルを寄付するように企業側に余儀なくさせて、韓国で最も有名な大学の一つに娘を入学させたという。水曜日に韓国検察はチェ・スンシルに対して刑事告発をすると述べた。

 

When she was elected in 2012, Ms. Park promised that she would end the corruption that has long plagued South Korea’s political leadership, saying: “I have no child to inherit my properties. You, the people, are my only family, and to make you happy is the reason I do politics.” She also pledged to tackle growing economic inequality, rein in South Korea’s powerful chaebol, or family-controlled conglomerates, and improve relations with North Korea.

2012年当選した当時の朴槿恵氏は、「私には財産を譲る子もいない。国民の皆さんが私の唯一の家族である。国民を幸せにすることが私の政治をする理由である」と述べて、長い間韓国政界の指導者の害悪であった腐敗を終息させると約束した。また朴槿恵氏は、ますます増大する経済的不平等と戦って、韓国の強力な家族支配や大手財閥を抑制し、北朝鮮との関係を改善すると宣言した。

 

It is hard to see how Ms. Park can accomplish any of this now. Her term in office will end in February 2018, and she faces fierce resistance from opposition parties that constitute a majority in South Korea’s Parliament. On Wednesday, Ms. Park replaced her prime minister and two other cabinet ministers, but opposition lawmakers vowed they would not approve the new appointments.

今、朴槿恵氏がこのいずれもどのように達成できるかどうか理解し難い。朴槿恵氏の任期は2018年2月で、韓国国会の多数を占める野党の激しい抵抗に直面している。水曜日に朴槿恵氏は、首相と二人の長官を交代させたが、野党議員たちは彼らの任命を承認しないと公言した。

 

Though Ms. Park admitted in a televised speech last week that she shared “certain documents” with Ms. Choi and apologized to the South Korean people, she refused to allow prosecutors to search aides’ offices in the presidential offices. South Koreans deserve a thorough and independent investigation into the Choi affair. Ms. Park’s future in power will depend on it.

朴槿恵氏が先週TV演説で、自身がチェ氏と「いくつかの文書を」共有したと認めて国民に謝罪したが、朴大統領は、検察が大統領府秘書官オフィスに家宅捜索することを可能にしなかった。韓国国民は、チェ氏の事件に対する徹底した独立捜査を要求する権利がある。朴槿恵氏の今後はそれにかかっている。

 

翻訳出処:뉴욕타임스 사설로 ‘박근혜 철저 수사 만이 살 길’ | TheNewsPro, 뉴스프로