平和の適期(オスロ大学・朴露子教授3月18日コラム)

 

今日ちょっと面白い(?)ことがありました。ノルウェー公立放送ラジオで最近の朝鮮半島の状況についてインタビューを行っていた途中で、もし北朝鮮と米国との首脳が会って平和へと有意義に向かったら、その両首脳らにノーベル平和賞を与える必要があるかと質問されました。 私は一秒の躊躇なく、その通りだ、金正恩とトランプ二人と、文在寅大統領などにノーベル賞を与える必要があると即答しました。 放送局の解説者は、金正恩とトランプの評判が「ご存知のとおりちょっと問題が多いが…。それにもかかわらず、この話は果たして現実的なのか」と反問されました。 私はあえて「人格」や「経歴」の問題で考えるなら、その賞の創始者である爆弾商人ノーベルからして問題が多い上、今までその賞を受賞したキッシンジャー、ラヴィン、オバマなどには国際法違反や無法殺人などの多くの犯罪歴があり、その賞に何の「純潔性」も見つられないと答えました。賞はただ「方便」なだけです。 その手段を使って朝鮮半島の平和を作ることができるなら非常に良いのですが、今こそもしかすると適期ではないかと付言しました。 なぜ適期なのか、下記で論じます。 
 
朝鮮半島の不安の源泉である分断体制は、1990年代前半の国際冷戦終結過程で逆説的に更に強化されてしまいました。 ソ連は、韓国と国交正常化する前にクロス承認、すなわち北朝鮮に対する日米の国交正常化まで取らなければならなかったのですが、それさえできずにただ没落してしまいました。ソ連、中国の韓国への国交正常化により、北朝鮮は国際体制編入どころか逆に孤立し、日本や米国にいくらラブコールを送っても反応がないことから(金丸信など日本の一部親分たちが日朝国交正常化論を説いたが米国は拒否しました)、仕方なく核武装に向かいました。 その葛藤は1994年に金日成-カーター会談で少しなだめられたが、実は朝鮮が望んでいたことは、カーターの訪朝だけでなく、その当時の現職大統領であったクリントンの訪朝と国交正常化でした。苦難の行軍時代に対朝鮮援助の相当部分を米国が提供し、朝鮮はこれを快く受け取っていたのに、米朝国交正常化の兆しは韓国の太陽政策の稼動以後にやっと兆しが見え始めました。 2000年にオルブライト外相が訪朝し、朝鮮はその後クリントンの訪朝を首を長くして待ちましたがそれは霧散し、その次のブッシュの就任と「悪の枢軸」といった米国のあがきのような態度によって、事態は崖っぷちに向けて走り始めました。 

米国がブッシュ就任以降に触発させ長期化した葛藤のクライマックスは、昨年の大陸間のミサイル試験発射と水素爆弾の試験など「確実な対米抑制力」の最終的な誇示でした。 2000年に米朝国交正常化が行われて北朝鮮の国際資本主義体制の編入が行われた場合、核とミサイル問題は最初から生まれなかったはずでしたが、この17年間の米国側の強硬策はこのような結果を産みました。一つに対米抑止力は抑止力であるだけで、今日の資本化されていく北朝鮮指導層の最終目標は抑止を超えた対米正常化です。そうしてこそ、例えば中国とベトナムのように資本の流れの国際ネットワークに編入され、投資を受けて中国・ベトナムのような年間6%の成長率を見せそうなわけです。それで抑制力がある程度の完成を備えると、北朝鮮の指導部は1990年代序盤から宿望してきた事業、すなわち対米正常化事業に着手したのです。ちょうど韓国でも正常で対話可能な人々が政権を握り、韓国が1990年代末のように「橋渡しの役割」を行えるようになったのです。 そうして金正恩・トランプ会談の提案につなげましたが、その他を置いても北朝鮮の対外政策は徹底的に一貫したものです。 目標と方向は終始一貫で明らかです。 単純に話せば、体制の存続保障、敵対勢力に対する抑止と資本主義世界体制編入の二頭馬車です。

だとすると米国の狙いは?とても簡単です。 実は朝鮮は今、フィリピンやベトナム、タイのように「二股国家」に分類されます。 フィリピンは形式的に米国の准同盟国であるが非常に中国側に傾いており、朝鮮は形式的に中国の同盟国だが、実は中朝関係は1990年代序盤以降で最悪の地点にあります。朝鮮の国家理念は「自主」であり、例えばラオスカンボジア、ネパールなど、すでに中国中心の国際政治的体制に編入された周辺国と違い、朝鮮は「中間的位置」を望んでおり中国と米国との間の「漁夫の利」を狙いたいのだと思います。 そのロールモデルは、ベトナムのように歴史的関係が深い国です。 対米国交正常化が成功すれば、中国が見る観点での朝鮮は「身代金」が非常に上がります。そうすると、様々な角度から対中関係において、より有利な条件を獲得できるはずです。 

はっきり言っておきます。 社会主義者である私の立場からは、朝鮮指導部の資本化戦略も米国支配者たちの「中国周辺国取外し戦略」も何ら支持の対象にることは絶対にありません。 しかしそうでもして朝鮮半島の平和を取り戻すことができ、南北関係正常化と南北交流活性化、さらに双方の自由往来や軍縮などに向かうのなら当然すべて歓迎です。 また星条旗に対する一方的な「忠誠」を誇示する韓国支配者たちを毎日見ていると、むしろ中国と米国との間で自国実利の極大化路線をうまく歩む朝鮮の外交技術は正直言って羨ましいばかりです。 本当に羨ましいです…

[原文] [한겨레] 박노자 글방 :: 평화의 적기 (適期)