日本軍「慰安婦」被害者の名誉毀損事件の捜査結果(ソウル東部地方検察庁 2015 . 11. 18 報道資料)

 

Ⅰ.概要

●ソウル東部地方検察庁刑事第1部(部長検事グォンスンボム)は「帝国の慰安婦」著者AOOが、上記の本を介して日本軍慰安婦被害者の名誉を毀損した事件を捜査して2015 年11月18日、AOOを名誉毀損罪で在宅起訴した。

検察は、国連の調査資料、大韓民国憲法裁判所の決定、米連邦下院決議文、日本国河野談話など客観的な資料を通じて、上記の本の内容が虚偽の事実として、日本軍慰安婦被害者の名誉を毀損したことを確認した。

 

Ⅰ.被告と控訴事実要旨

1. 被告:AOO(OO大学教授)

2. 控訴事実要旨

被告人は、2013年8月12日、「日本軍による日本軍慰安婦強制動員または強制連行の事実を否定して、日本軍慰安婦は、基本的に売春の枠組みの中にある女性がとか自発的に売春婦であり、日本帝国の一員として日本国の愛国心や誇りを持って、日本人兵士たちを精神的・物理的に元してくれる慰安婦に生活しながら日本軍と同志的関係にあった。」という虚偽の事実が記載された「帝国の慰安婦」の本を出版し、公然と日本軍慰安婦被害者の名誉を毀損。

 

Ⅱ.捜査の経過と捜査結果

 1. 捜査経過

2014. 6. 日本軍慰安婦被害者たち11人告訴状提出
2014. 6.〜2015 3. 原告側と被告訴人側の調査、客観的資料の収集・検討
2015. 4.〜10. 当事者の申請に基づいて刑事調停を進行(刑事調停不成立)
2015.11.18.  AOO在宅起訴

 

2. 捜査結果

●被告人は、客観的資料に反する虚偽の事実を適示したこと


- 19938月4日付河野洋平官房長官談話、国連人権委員会の1996年1月4日付クマラスワミ報告書および1998年8月12日マクドゥーガル報告書、大韓民国憲法裁判所、2011月8月20日付2006ホンマ788決定、2007年7月30日付・米国連邦下院決議など客観的な資料に基づいて、日本軍慰安婦被害者は性奴隷に相違ない被害者であることが認められて、そのような状況で日本国と日本軍に愛国的また自発的に協力していないにもかかわらず、
AOOは、上記の本にて、下記の表現などで、「日本軍慰安婦は、基本的に売春の枠の中にある女性で、自発的な売春婦であり、日本国の愛国心または誇りを持って、日本人兵士たちを精神的、身体的に慰安してくれる慰安婦として生活しながら、日本軍と同志的関係にあった」と虚偽の事実を適示した。

 

 -「朝鮮人慰安婦の苦痛が日本人娼妓の苦痛と基本的に変わらないことをまず知る必要がある」
  -「『慰安』は、過酷な弱肉強食構造の中で、実際にお金を稼げたものは少なかったものの、基本的には、収入が予想される労働であり、その意味では『強姦的売春』だった。あるいは『売春的強姦』だった」
  -「朝鮮人『慰安婦』を指す『朝鮮ピー』という言葉は、朝鮮人に対する露骨な蔑視が現れている。兵士たちが彼女たちをこうも簡単に強姦できたのは、彼女たちが“売春婦”だったからでもあるが、何よりも“朝鮮人”だったからだ」
  -「そのような精神的な”慰安者”としての役割―自分の存在に対する(やや無理があるとしても)誇りが、彼女たちが直面していた厳しい生活を耐え抜く力になっただろうというのは、十分に想像できる」
  -「それは朝鮮人慰安婦と日本軍の関係が、基本的には、同志的な関係だったからだ」
  -「日本人、朝鮮人、台湾人『慰安婦』の場合、“奴隷”的ではあったものの、基本的には軍人と“同志”的な関係を結んでいた」
  -「ホロコーストには『朝鮮人慰安婦』の持つ矛盾、つまり被害者でありながら、協力者という二重の構図はない」
  -「『朝鮮人慰安婦』は、被害者であったが、植民地人としての協力者でもあった」
  -「『慰安婦』を“誘拐”して“強制連行”したのは、少なくとも、朝鮮の土地では、そして公的には日本軍ではなかった」
  -「少なくとも“強制連行”という国家暴力が朝鮮の慰安婦に対して行われたことはない」

 

●被告人の行為は、学問の自由を逸脱したものであること

- 良心の自由、言論及び出版の自由、学問の自由などは、私たちの憲法が保障する基本的な権利とはいえ、何の制限がないわけではなく、憲法第37条第2項により国家の安全保障、秩序維持または公共福利のために必要な場合には、その自由と権利の本質的な内容を侵害していない範囲内で制限することができるものであるが(最高裁2007ト10121)、上記の表現は、日本軍慰安婦被害者の社会的価値ないし評価を著しく大きく阻害する虚偽の事実を適示して、被害者の人格権と名誉権を重大に侵害し学問の自由を逸脱した。

 

[原文]서울고등검찰청 일본군위안부 피해자 명예훼손 사건 수사결과

 

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